Chemistry Labs

問題 1

一般式 PtXX2(amine)X2\ce{PtX2(amine)2}(X = ClX2\ce{Cl2}、SOX4X2−\ce{SO4^{2-}}、マロン酸塩など)を持つ2価白金化合物は抗腫瘍活性のため大きな注目を集めている。最もよく知られた臨床化合物は PtClX2(NHX3)X2\ce{PtCl2(NH3)2} で、白金は平面四角形配位をとる;幾何異性体が2つあるが抗腫瘍活性を持つのは1つだけである。1.1 2つの異性体の立体構造を図示せよ。1.2 PtBrCl(NHX3)X2\ce{PtBrCl(NH3)2} の異性体はいくつか? すべて図示せよ。1.3 アミン配位子は2個の供与原子(N)を持つ1個の配位子、例えば1,2-ジアミノエタン(en)で置き換えられる。PtBrCl(en)\ce{PtBrCl(en)} が安定な構造を1つしか持たないことを示せ。1.4 水溶液中では配位子の解離と水による一時的置換で異性化しうる;ClX−\ce{Cl^-} と BrX−\ce{Br^-} は比較的容易に置換されるがアミン配位子は難しい。PtClX2(en)\ce{PtCl2(en)} は室温で BrX−\ce{Br^-}(モル比1 : 2)と反応する。どの化合物がどの割合で生成するか?(Pt–Br結合とPt–Cl結合は同等の強さ;加水分解は無視。)1.5 化学平衡の式を用いて、PtClX2(NHX3)X2\ce{PtCl2(NH3)2} の加水分解が血液中ではほとんど起こらず細胞内では起こる理由を示せ(Cl− 濃度は血液中で高く細胞内で低い)。1.6 腫瘍細胞内で加水分解後、2個の NHX3\ce{NH3} 配位子を持つ反応性白金イオンがDNAのグアニンN原子に結合し、同じ鎖の第2のグアニンへの結合が続いて形成されうる。1.1の2つの異性体のうちどちらがこの結合を形成できるか計算で示せ。(Pt–N距離 = 210 pm;DNA塩基間距離 = 320 pm。)
ステップ 4/4: 2つのグアニンを架橋できる異性体
直感的な説明

各異性体で2つの脱離基(N結合)部位がどれだけ離れているかを問う。

dcis=2102=297 pm<320 pm;dtrans=2×210=420 pm>320 pmd_{cis} = 210\sqrt{2} = 297\ \text{pm} < 320\ \text{pm};\qquad d_{trans} = 2 \times 210 = 420\ \text{pm} > 320\ \text{pm}
分析

シス異性体では交換可能な2部位が90°をなし、間隔は 2102=297210\sqrt{2} = 297 pm —— グアニン間隔320 pmに十分近く、わずかな歪みで架橋できる。トランス異性体では部位は対向して 2×210=4202 \times 210 = 420 pm で全く届かない。したがって cis-PtClX2(NHX3)X2\ce{PtCl2(NH3)2} のみが2番目のグアニン結合を形成できる——シスプラチンが活性薬であることと一致。