問題 1
陽子のトンネリング。エネルギー障壁を越える陽子のトンネル効果は水素結合をもつ多くの系(DNA、タンパク質など)で観測される。プロパンジアール(マロンアルデヒド)は分子内陽子移動が起きる最も単純な分子の一つである。(1.1) プロパンジアールの示性式と、それと平衡で存在しうる2種の異性体の構造を書け。(1.2) 水溶液中でプロパンジアールは酢酸程度の弱酸である。酸性水素原子を特定し、その酸性の理由を説明せよ。分子内陽子移動のエネルギー曲線は対称な二重井戸型で、2つの極小間の距離は nm である。(1.3) 2つの極小に対応する構造を書け。陽子は左右の井戸 L, R の間を角振動数 s で往復する。確率密度は 。(1.4) , , における確率密度の式を書け。(1.5) 計算なしで、 において陽子が左の井戸に見出される確率を答えよ。(1.6) 一方の井戸から他方へ陽子が移動するのに要する時間と、移動中の平均速度を求めよ。(1.7) 二重井戸から位置の不確定さ を推定し、Heisenberg の不確定性関係 から速度の最小不確定さ を計算して (1.6) の古典的速度と比較し結論を述べよ。