Chemistry Labs

材料化学

金属ナノ粒子・量子ドット

ナノ寸法では光応答が変化する。金属粒子は局在プラズモンを示し、半導体量子ドットでは電子遷移がサイズに依存する。

直観直観:サイズが光との相互作用を変える

金コロイドが金属光沢の黄色ではなくルビー色に見えることがあるのは、粒子中の伝導電子が光電場に集団応答するためである。半導体ナノ結晶では電子と正孔の閉じ込めにより最低光学遷移のエネルギーが上がり、小さい量子ドットほど発光が青側へ移ることが多い。

プラズモン吸収とサイズ依存の量子ドット吸収・発光帯の模式図。参照実測スペクトルではない。

学校基礎:ナノ領域における二種類の光応答

定義: 局在表面プラズモン共鳴(LSPR)

入射光によって駆動される金属ナノ粒子の伝導電子の集団共鳴振動。波長と線幅は組成・形状・サイズ・周囲媒質・粒子間結合に依存する。

定義: 量子閉じ込め

半導体領域の大きさが励起子ボーア半径に近づくと、境界による閉じ込めが許容される電子・正孔状態を変える。これは単なる古典的な粒径色効果ではない。

機構の比較
金属ナノ粒子半導体量子ドット
伝導電子の集団応答閉じ込めで移動する離散的な電子・正孔遷移
強い吸収・散乱帯を示すことが多いバンド端吸収とフォトルミネッセンス

誘電体中の小さな金属球では、準静的共鳴条件は Re[ε(ω)] ≈ −2ε_m と近似できる。この近似は粒子寸法が波長より十分小さい場合に限られ、大粒子では遅延効果や多極子が重要となり、周囲媒質も共鳴を移動させる。

大学大学:閉じ込めによる光学ギャップの増大

E(R)≈Eg,bulk+ℏ2π22R2(1me∗+1mh∗)−1.8e24πε0εrRE(R) \approx E_{g,\mathrm{bulk}} + \frac{\hbar^2\pi^2}{2R^2}\left(\frac{1}{m_e^*}+\frac{1}{m_h^*}\right) - \frac{1.8e^2}{4\pi\varepsilon_0\varepsilon_r R}

この有効質量球形ドット式(Brusモデル)は電子・正孔の閉じ込め運動エネルギーとクーロン引力を組み合わせる。半径Rが結合長に近い場合、誘電遮蔽が不均一な場合、表面状態が支配的な場合には定性的なモデルにとどまる。実スペクトルには励起子微細構造やフォノン広がりも含まれる。

例: 閉じ込めの傾向

組成と表面パッシベーションをほぼ一定に保ってCdSe量子ドットを小さくする。最低励起子吸収はどちらへ移るか。

解答

閉じ込め項はおよそR⁻²で変化し、Rが小さくなると増加する。したがって光学遷移は通常、高エネルギー(短波長、青方)へ移る。ただし表面化学や誘電環境の変化にも依存する。

参考文献

  • Electronic-electronic and electron-hole interactions in small semiconductor crystallites: The size dependence of the lowest excited electronic state · Louis E. Brus, 1984
  • Plasmonics: Fundamentals and Applications · Stefan A. Maier, 2007