工業化学・応用化学
反応工学・熱移動と物質移動
固有反応速度論を、反応器規模の混合・滞留時間・除熱・拡散と結びつけ、転化率、選択性、安定性を予測します。
直観分子から反応器へ
十分に混合された等温条件で測定した速度式だけでは、反応器設計にはなりません。流動、混合、熱交換、触媒細孔内の輸送が局所濃度と温度を変えるため、反応器工学ではそれらを化学反応と連成させます。
定義: 滞留時間
定常流反応器の公称空間時間は、反応器体積を原料体積流量で割った τ=V/V˙0 です。有用な尺度ですが、すべての流体要素が正確に同じ時間滞留する保証ではなく、そのばらつきは滞留時間分布で表します。
学校理想反応器モデル
Batch: dtdCA=rA;CSTR: FA0−FA+rAV=0;PFR: dVdFA=rA 回分反応器では反応中に流入・流出がありません。連続槽型反応器(CSTR)は槽内と出口の条件が一様とし、押出流反応器(PFR)は軸方向に状態が変化し、逆混合は無視できるとします。これらの理想化による収支予測は装置設計の出発点です。
例: 一次反応の転化率
速度が −rA=kCA の不可逆一次液相反応では、理想PFRの転化率は X=1−e−kτ です。kτ=1 なら約0.63です。同じ速度式を理想CSTRに適用すると X=kτ/(1+kτ)=0.50 となります。槽全体が出口と同じ低濃度だからです。
解答
設計式は反応器体積に沿って局所速度を積分します。PFR入口付近では反応物濃度が高く、CSTRは槽全体で出口濃度です。そのため正の反応次数では、同じ体積・供給流量ならPFRの方が高い転化率になります。
大学熱移動が速度論を変える
dtdTordVdT∼ρCp(−ΔHr)(−rA)−ρCpVUA(T−Tc) 発熱反応では熱放出で温度が上がり、アレニウス速度論によって反応が速まり、さらに発熱することがあります。冷却能力、混合、反応器形状がこの正帰還を制御できるか、ホットスポットや熱暴走を招くかを左右します。吸熱反応では反応が失速しないよう十分な速度で熱を供給する必要があります。
上級物質移動と触媒有効係数
反応物は流体膜を越え、触媒細孔内を拡散してから活性点で反応することがあります。拡散が反応より遅いと、粒子規模で測る速度は固有速度より小さくなります。有効係数 η は両者を比べます。外部境膜抵抗と細孔内拡散は別の制限であり、対策も異なります。
η=rate if the whole catalyst were at surface conditionsobserved rate in porous catalyst,0<η≤1 定義: ダムケラー数
ダムケラー数は、特徴的な反応速度と輸送・流動の時間尺度を比較します。一次反応の押出流モデルでは Da=kτ です。大きな Da は滞留時間に比べて反応が速いことを、小さな Da は接触時間または固有速度が転化を制限しうることを示します。別の形状では対応する定義が異なります。
研究研究の最前線
参考文献
- Chemical Reaction Engineering · Octave Levenspiel, 1999
- Elements of Chemical Reaction Engineering · H. Scott Fogler, 2016
- Transport Phenomena · R. Byron Bird, Warren E. Stewart, Edwin N. Lightfoot, 2002
- Diffusion and Reaction in Porous Catalysts · E. W. Thiele, 1939