Chemistry Labs

理論・計算化学

選択則・群論と対称性

分子対称性と群の表現を用いて、許容される分光遷移を判定し、分子振動の対称性を解釈します。

直観対称性から観測可能性を予測

遷移には初期状態と終状態の間の相互作用が必要です。対称性により遷移モーメントがゼロとなれば、光のエネルギーが一致しても理想模型では禁制になります。

H₂Oを回転させ、C₂軸と鏡映面を確認します。これらの操作が点群 C₂v を定めます。

学校双極子遷移則

定義: 遷移双極子モーメント

電気双極子遷移振幅は行列要素 ⟨ψf∣μ∣ψi⟩\langle\psi_f|\boldsymbol\mu|\psi_i\rangle です。許容遷移にはゼロでないことが必要です。

Mfi=⟨ψf∣μ∣ψi⟩;Mfi≠0  ⟺  Γf⊗Γμ⊗Γi⊃Γtot.sym.M_{fi}=\langle\psi_f|\boldsymbol\mu|\psi_i\rangle;\quad M_{fi}\ne0\;\Longleftrightarrow\;\Gamma_f\otimes\Gamma_{\mu}\otimes\Gamma_i\supset\Gamma_{\mathrm{tot.sym.}}

全分子座標にわたる積分がゼロでないためには、終状態・双極子成分・初期状態の表現の直積に全対称表現が含まれなければなりません。

大学点群と指標表

点群は分子を不変に保つ対称操作をまとめたものです。既約表現は軌道・基準座標・ベクトル成分の変換を示し、指標表に簡潔に記されています。

例: 水の変角振動を分類

C₂v の H₂O では面内変角振動 ν₂ は E・C₂・2つの鏡映面のすべての操作で符号が変わらず、全対称です。どの赤外双極子成分が結合できますか。

解答

変角振動は A₁ と変換し、z も A₁ なので、C₂ 軸に沿った双極子成分が許容されます。(非対称伸縮 ν₃ が B₂ で、y 偏光成分と結合します。)

測定法演算子代表的な則
赤外吸収電気双極子振動で双極子が変化

上級対称性から観測強度へ

禁制遷移の強度がゼロなのは、対称性の割当てに用いた近似の範囲内です。振電相互作用、静的歪み、磁気双極子や電気四極子項によって弱い強度を得る場合があります。選択則は有力な判定法ですが、線が決して現れないという絶対則ではありません。

研究研究最前線:対称性の破れと強度借用

参考文献