無機化学
半導体と超伝導体
半導体と超伝導体はどちらも電子固体だが性質は正反対である。小さなバンドギャップが半導体のキャリア励起を制限する一方、超伝導では電子対がエネルギーギャップを開き無抵抗伝導を可能にする。
直観直観:ギャップが電荷輸送を制御する
占有バンドの電子は空バンドに遷移しなければエネルギーを増せない。絶縁体はギャップが大きく、半導体は小さく、金属は重なる。超伝導はフェルミ準位下の微小ギャップが電子対を通常散乱から守る点が異なる。
学校学校段階:制御できる導体としての半導体
定義: 真性半導体
真性半導体は適度のバンドギャップ(Siで室温約1.1 eV)をもつ。熱エネルギーで少数の電子だけが価電子帯から伝導帯に励起し、電子と正孔の数は等しい。
真性キャリア濃度はギャップと温度に指数依存するため、半導体はほぼ絶縁状態から導電状態へ切り替わる。この感受性がダイオード、トランジスタ、センサ、太陽電池を可能にする。
| 物質 | 電子特徴 | 効果 |
|---|---|---|
| 絶縁体 | 価電子帯–伝導帯ギャップが大きい | キャリアがほぼない |
| 半導体 | 小ギャップ;熱・光励起 | 導電性を調整可能 |
| 金属 | 部分的充填・バンド重なり | 高導電 |
例: Siの真性キャリアを見積もる
指数形ni∝exp(−Eg/2kBT)を用いる。T=300 KでkBT≈0.0259 eVとしてEg=1.1 eVと5.5 eVを比較せよ。
解答
指数はおおよそ−21と−106。ギャップが約5倍でも熱的キャリア生成は実質的に消失する。
大学大学:ドーピング・接合・超伝導
置換ドーピングはキャリアを意図的に加え、Pは電子を与えn型、Bはアクセプター準位と正孔を生じp型となる。フェルミ準位はキャリア源のバンド側へ移動し、異種ドープ領域の接合は内在電場を作る。
通常金属ではフォノン・欠陥散乱が抵抗を生む。超伝導では臨界温度Tc以下でクーパー対の相関状態が形成される。従来型BCS理論では弱い電子–フォノン相互作用により、kBTc程度のギャップをもつ対凝縮が起こる。
例: BCSギャップを見積もる
MgB₂でTc≈39 K、kB=8.617×10⁻⁵ eV K⁻¹とし、弱結合の2Δを見積もれ。
解答
2Δ≈3.53×8.617×10⁻⁵×39≈1.19×10⁻² eV≈11.9 meV。実際のMgB₂は多バンドで、単一弱結合ギャップより複雑である。
単なるゼロ抵抗ではなく、マイスナー効果が本質的である。超伝導体はTcを通過して冷却されると磁束を排出する(侵入長の範囲)。II型材料は下部・上部臨界磁場の間で量子化渦を取り込む。
上級物理と材料の視点
半導体特性はバンド分散、キャリア統計、移動度、再結合、接合効果で記述される。理想バンド像は界面・トラップ・欠陥を隠す。超伝導では対称性、磁束ピン止め、コヒーレンス、競合電子秩序が課題となる。
研究研究段階:高温超伝導体と量子半導体
参考文献
- Solid State Physics · N. W. Ashcroft, N. D. Mermin, 1976
- Possible high-Tc superconductivity in the Ba–La–Cu–O system · J. G. Bednorz, K. A. Müller, 1986