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環境・グリーン・エネルギー化学

人工光合成

光吸収体・触媒・膜で太陽光を水素や炭素系燃料へ変換する方法と、効率・耐久性・大規模化の課題。

直観直観:太陽光を化学結合に蓄える

天然光合成は光を用いて二酸化炭素と水からエネルギー豊富な分子をつくる。人工光合成はこの戦略を応用し、光吸収体で酸化と還元を駆動して、太陽光を水素や炭素系燃料に蓄えることを目指す。

モードを選ぶ。タンデム光電気化学デバイスで水酸化、膜輸送、燃料生成還元を追い、次に二吸収体 Z スキームの酸化還元準位を比べる。

学校学校レベル:総括反応とエネルギー

6COX2+6HX2O→hνCX6HX12OX6+6OX2ΔG∘≈+2870 kJ mol−16\ce{CO2}+6\ce{H2O}\xrightarrow{h\nu}\ce{C6H12O6}+6\ce{O2}\qquad \Delta G^\circ\approx+2870\ \mathrm{kJ\ mol^{-1}}

標準自由エネルギー変化が正であるため、グルコース生成には光エネルギーの供給が必要である。人工系は水を水素と酸素に分解したり、回収 CO2 を一酸化炭素・ギ酸塩・炭化水素へ還元したりできるが、経路ごとに選択性とエネルギーコストが異なる。

2HX2O→2HX2+OX2E∘=1.23 VΔG∘=237 kJ molH2−12\ce{H2O}\rightarrow2\ce{H2}+\ce{O2}\qquad E^\circ=1.23\ \mathrm{V}\qquad \Delta G^\circ=237\ \mathrm{kJ\ mol^{-1}_{H2}}

定義: 水分解の熱力学的電圧

可逆電圧 1.23 V は標準条件での最小自由エネルギー要件である。実デバイスには電極過電圧、オーム損失、物質移動、光電荷変換の損失分が必要であり、エンタルピーに基づく熱中性電圧は約1.48 V。

半導体は太陽光を吸収し、望む還元・酸化を駆動できる伝導帯・価電子帯端をもつ必要がある。熱力学的ギャップは最低1.23 eVだが、過電圧や損失を考えると、バンド配置と構成に応じて実用吸収体やタンデムが約1.6–2.4 eVの有効光電圧・エネルギーを要することが多い。

例: 太陽光水素変換効率の見積もり

Jop=10J_{op}=10 mA cm⁻²、Pin=100P_{in}=100 mW cm⁻²、ファラデー効率 ηF=0.95\eta_F=0.95 の装置の STH を求めよ。

解答

単位をそろえて STH=Jop(1.23 V)ηF/Pin\mathrm{STH}=J_{op}(1.23\ \mathrm V)\eta_F/P_{in} を用いると (0.010×1.23×0.95)/0.100=0.117(0.010\times1.23\times0.95)/0.100=0.117、すなわち11.7%。無バイアス運転を仮定し、化学エネルギーを可逆水分解電圧で評価する。外部バイアスを太陽光として数えてはならない。

大学大学:光電気化学構成

光電気化学(PEC)セルは半導体吸収体と触媒界面を電解液中に統合し、生成ガスを分ける膜を備えることが多い。タンデムは吸収体を積層して光電圧を得る。Z スキームは二つの光駆動段階で強い酸化力と還元力を保ち、材料が同じという意味ではなく二つの光化学系に機能上類似する。

ηSTH=Jop(1.23 V)ηFPinΔG=−nFE\eta_{\mathrm{STH}}=\frac{J_{op}(1.23\ \mathrm{V})\eta_F}{P_{in}}\qquad \Delta G=-nFE

酸素発生触媒は困難な4電子酸化を仲介し、水素発生触媒はプロトンと電子を結合させる。Kanan と Nocera が報告したコバルトリン酸塩(Co-Pi)は自己組織化型の注目触媒である。Ru・Ir 分子触媒は高活性になりうるが、費用・安定性・重要元素の課題があり、豊富元素触媒も盛んに研究される。

例: 光子エネルギーのしきい値

可逆水分解の移動電子当たりエネルギー 1.23 eV に相当する波長は何か。

解答

λ(nm)≈1240/E(eV)\lambda(\mathrm{nm})\approx1240/E(\mathrm{eV}) より、\lambdapprox1240/1.23=1008 nm。これは可逆熱力学しきい値に過ぎず、実系では追加駆動力と電荷移動効率が必要である。

上級発展:生物模倣とスケールアップ

酸素発生型光合成では Mn4CaO5 酸素発生複合体が S 状態を進み、4つの酸化当量を蓄積して O2 を放出する。人工触媒は損傷性中間体を避けながら同様の多電子化学を目指す。天然光合成は光捕集・修復・炭素固定・生態系制約を結ぶため、単なる高効率の比較対象ではない。

粒子上で水素と酸素を生成する光触媒シートは可能だが、安全なガス分離と希薄生成物の大規模回収が大きな工学課題である。特定紫外波長で高い見かけ量子収率でも、全太陽光スペクトル下の太陽光水素変換効率が高いとは限らない。モジュール耐久性、腐食、触媒交換、ライフサイクル材料も実用性能を左右する。

全水分解では O2 1分子あたり4電子、O2ごとに H2 が2分子生じる。STH のエネルギー計算は可逆電圧1.23 Vとファラデー効率を用いる。CO2 燃料では競合する水素発生が優勢になりうるため、総電流だけでなく生成物別ファラデー効率と炭素収支も報告する。

研究研究最前線:統合型ソーラー燃料

Al ドープ SrTiO3 と Rh/Cr2O3・CoOOH 助触媒に基づく画期的な光触媒シートは、全水分解で350–360 nmにおける見かけ量子収率約96%を報告した。この波長限定値は STH 効率ではない。その後のパネル実証は、反応器形状・ガス処理・日射変動が活性材料と同じほど重要であることを示す。

研究の最前線はシステム統合である。耐久吸収体、選択的触媒、低抵抗膜、安全な生成物分離、拡張可能な製造が必要となる。ペロブスカイト–シリコンタンデムは高い光電圧を与えうるが、安定性と封止が重要課題である。ハイブリッド生物無機系は電極触媒と微生物を結び炭素固定を目指すが、太陽入力と生成物エネルギーの厳密な収支が要る。

参考文献

  • Electrochemical photolysis of water at a semiconductor electrode · A. Fujishima, K. Honda, 1972
  • In situ formation of an oxygen-evolving catalyst in neutral water containing phosphate and Co2+ · M. W. Kanan, D. G. Nocera, 2008
  • Photocatalytic water splitting with a quantum efficiency of almost unity · T. Takata, J. Jiang, Y. Sakata, M. Nakabayashi, N. Shibata, V. Nandal, K. Seki, T. Hisatomi, K. Domen, 2020
  • Water splitting–biosynthetic system with CO2 reduction efficiencies exceeding photosynthesis · C. Liu, B. C. Colón, M. Ziesack, P. A. Silver, D. G. Nocera, 2016
  • A monolithic photovoltaic-photoelectrochemical device for hydrogen production via water splitting · O. Khaselev, J. A. Turner, 1998