Chemistry Labs

9年生

脂質・油脂

油脂はグリセロールと脂肪酸のエステルで、エネルギーを蓄え、水に溶けず、石けんにも変えられる。

直観直観:なぜ油と水は混ざらないのか

食用油を水と振ると、油はすぐに別の層に集まる。油脂分子の大部分は炭素と水素の長い鎖で、水分子を引きつけない。この鎖のおかげで油脂はコンパクトなエネルギー貯蔵庫になり、1 gあたりのエネルギーはデンプンや糖の2倍以上になる。

グリセロール(左)にエステル結合で3本の脂肪酸鎖が付く。最下段の鎖にはシス二重結合があり折れ曲がる。水素原子は省略している。

学校学校レベル:構造・飽和と不飽和・石けん

定義:

グリセロール1分子 HOCHX2−CHOH−CHX2OH\ce{HOCH2-CHOH-CH2OH} と3分子の脂肪酸(長鎖カルボン酸 R−COOH\ce{R-COOH})からできるエステル。固体のものを脂肪、液体のものを油という。

CX3HX5(OH)X3+3 RCOOH⇌HX+CX3HX5(OCOR)X3+3 HX2O\ce{C3H5(OH)3 + 3 RCOOH <=>[H+] C3H5(OCOR)3 + 3 H2O}
代表的な脂肪酸
脂肪酸式分類
パルミチン酸C₁₅H₃₁COOH飽和
ステアリン酸C₁₇H₃₅COOH飽和
オレイン酸C₁₇H₃₃COOH(シスC=C 1個)不飽和

飽和鎖はまっすぐでぎっしり詰まるため、ラードのような動物性脂肪は室温で固体である。シスC=C二重結合は鎖を折り曲げ分子が詰まりにくくなるので、オリーブ油のような植物油は液体のままである。油脂をNaOH水溶液と加熱するとエステル結合が切れ(けん化)、グリセロールと脂肪酸のナトリウム塩である石けんができる。

(CX17HX35COO)X3CX3HX5+3 NaOH→3 CX17HX35COONa+CX3HX5(OH)X3\ce{(C17H35COO)3C3H5 + 3 NaOH -> 3 C17H35COONa + C3H5(OH)3}

例: トリステアリンから作る石けん

トリステアリン (CX17HX35COO)X3CX3HX5\ce{(C17H35COO)3C3H5}(M = 890 g/mol)89 gを過剰のNaOHでけん化する。生じるステアリン酸ナトリウム(M = 306 g/mol)の質量は?

解答

n(トリステアリン)=89/890=0.100 mol。1 molから石けん3 molが生じるので n(石けん)=0.300 mol、m=0.300×306=91.8 g。

参考文献

  • Lehninger Principles of Biochemistry (8th ed.) · David L. Nelson, Michael M. Cox, Aaron A. Hoskins, 2021